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スタッフおすすめの本

『永遠の0 (ゼロ)』 百田尚樹 [著]  講談社, 2009.7

2013.07.18

泣きました。涙が止まらなくなり、いくつものページに涙のシミができました。
終戦から60年たって、戦闘機「零戦」による特攻で戦死した祖父の生涯を調べていた青年は、特攻で生き残った元兵士を訪ねて歩きます。そして「操縦は天才だが臆病者・卑怯者だった」という人物像を聞かされて戸惑いながらも、祖父の生きた足跡を追いかけて少しずつ実像に迫っていきます。

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「娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために絶対に生きて帰る」と言い続けていた祖父は、結局自ら特攻に志願して死んでいったことがわかりました。何故なのか。その謎が明らかになった時、意外な真実が浮かんできたのです。
「ボックス!」「影法師」そして今年の本屋大賞を受賞した「海賊と呼ばれた男」などさまざまなジャンルで骨太な作品を世に出してきた百田尚樹のデビュー作です。実在の撃墜王が登場するなど史実に忠実に描かれていますが、決して戦記物ではなく、温かいヒューマンドラマです。現在、岡田准一主演で映画化が進んでおり、今年の12月に封切りになるそうです。いったいどんな映画になるのか、原作と比べるのもまた楽しみですね。        (Pen)

『だから、僕は学校へ行く!』 乙武洋匡著 講談社文庫 2010.9

2013.07.18

著者は東京都の小学校で3年間の任期付き教師になった。朝日新聞のコラムでこの記事を読み「なぜ、教師に?」と思ったが、この本で、その答えを得た。著者は『五体不満足』でついたイメージをリセットするため、スポーツライターをしていたが、社会のため、子供達のために

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教育への転身を決め、教育現場を見たいと、「新宿区子どもの生き方パートナー」になり、小中学校や教育施設に行く。また、教育界に参加するために教員免許取得を目指すが、当初、教師になるためではなかった。しかし、徐々に教師になりたいという思いが芽生え始めていることに気づき、著者は子供達に「それぞれ、違っていていいんだよ」というメッセージを伝えるために教壇に立つことを決める。著者が見てまわった教育現場の情報や著者の意見(それぞれの学校の工夫、地域連携、学校での子どもたちの様子、学力、不登校、体罰・・・)を読み、教育について改めて考えさせられた。また、教育実習の現場を見に来た著者の恩師の「教育はね・・・最後は人柄、人間性だから」という言葉は教育の問題を解決してくれそうなキーワードひとつとして心に響いた。 (N)

『往復書簡』 湊かなえ[著] 幻冬舎 2010.9 913.6/MiKa(3階閲覧室)

2013.04.02

この小説は、「十年後の卒業文集」、「二十年後の宿題」、「十五年後の補習」の三部構成になっていて、それぞれ手紙の形で物語が進められている。その中の「二十年後の宿題」は「北のカナリアたち」という題名で映画化された。

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退職し入院中の元教師が、小学校の教え子の青年に、今はみな成人している他の教え子たちの現在の状況を見てきてほしいと依頼するところから物語が始まる。
20年前、クラスの数人の教え子を連れて川へ遊びに行き、そこで不幸な事故が起きてそれぞれの子供たちの心に一つの傷を残した。頼まれた青年はそのひとりひとりの教え子たちを尋ねて、話を聞き先生に手紙で報告する。その中で事故についていろいろな事実が分かってくる。そして最後に青年自身も思わぬ事実を知ってしまうことになる。
ひとり会うたびに新事実が次々と出てきて物語に引き込まれていく。同じ出来事を体験した者でも、一人ひとりが違う捉え方をしていているところが興味深く、書簡形式のストーリーがミステリーを盛り上げている。  (K)

『神田川デイズ』豊島ミホ [著]  角川文庫 2010.11 2階文庫コーナー

2013.02.01

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豊島ミホが描く、大学生の青春短編集です。青春ものというと、さわやかな話というイメージが強いと思いますが、この本に出てくる主人公たちは、「ひたすらかっこ悪い」「どん詰まり」の青春を送っています。

六畳一間の下宿で、みかんの汁が飛んだコタツでうだうだとしたり、流されるままサークルに入ったものの、馴染みきれなくて自分を見失ったり、軽いことがカッコいいと思い込んで、結果的に情けない恋をしたり、友達のいないまま4年間を終えようとしていたり。それでもこの作品は間違いなく「青春」の物語です。誰しもどこかで少しは感じたことがあるであろう感情が直球に描かれており、胸を突きます。

また、作者自身の経験から、夜間学部に通っているという設定が多いのもこの短編集の特徴です。そして作品ごとのタイトルも、短い言葉の中に大きな世界観を感じさせてくれて、とても素晴らしいです。この作品を手に取った際には、是非そちらのほうにも注目してみてください。  (A)

「ディケンズ生誕200年」

2013.01.11

今年は、チャールズ・ディケンズ生誕200年の年にあたります。ディケンズは1812年2月7日にイギリスのポーツマスに生まれました。イギリス文学といえばシェイクスピアが有名ですが、イギリスではシェイクスピアと双璧の大作家として評価されています。

作品としては「信号手」「ボズのスケッチ集」「ニコラス・ニクルビー」「クリスマス・キャロル」「二都物語」などがあり、各作品とも19世紀イギリスの大衆社会の雰囲気を醸し出しています。手始めに当時の最新技術を駆使した、機関車が物語に登場する「信号手」を読んで恐怖の体験は如何でしょうか。また、もう一つの楽しみはロバート・シーモアやロバート・バスなど、当時の人気挿絵画家が、作品の表表紙やポイントとなる場面を描きいっそうイメージを膨らませてくれています。(T)
The portrait appeared in Dickens’s The Posthumous Papers of the Pickwick Clubin the Ticknor and Fields (Boston, 1867) Diamond Edition, facing the tite-page.

「あきらめない : 働くあなたに贈る真実のメッセージ」村木厚子著 日経BP社 2011.11 289.1/MuA(2階閲覧室) 「困ってるひと」大野更紗著 ポプラ社 2011.6 916/OSa(3階閲覧室)

2012.10.10

この「おすすめ本」を書くにあたり、最近読んだエッセイ2冊のどちらで書こうかと悩みました。何となく興味をもって手に取ったこの2冊、ふと気づけば同じテーマにも思えてきました。もちろん内容は全然違います。「あきらめない」は郵便不正事件で逮捕拘留(後に無罪確定)された村木さんの入省から今までのキャリアと、事件で拘留された日々の思いがつづられています。かたや「困ってるひと」は何の迷いもなく難民支援活動に力を注いでいた女子大学院生が、一転難病発症。その想像を絶する闘病生活が、なんとも軽妙にしかし冷静につづられています。
どちらもある日突然、「それ」はやってきます。しかもとてつもない大異変、大事件であるにも関わらず、このお二人は前向きなんて言葉では言い尽くせない思いで立ち向かっておられます。「あきらめない」「絶望は、しない」。どうしてそんなに強くいられるのか。はたして自分だったら? 日々の「普通」を、「変わらない毎日」の大切さをかみしめつつ、新聞での事件報道や難病認定の記事を見つめました。(pon)

 

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「ジュリエットからの手紙」ホセ・リベーラ原案 ヴィレッジブックス 2011.11 1階文庫コーナー

2012.07.20

「ジュリエットの秘書」って知っていますか?イタリアのヴェローナに実在する人たちで、ウィリアム・シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」のジュリエット宛に世界中から届く手紙の返事を書いているのです

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物語は、プレハネムーンで恋人とヴェローナを訪れたソフィが、「ジュリエットの秘書」と出会い、偶然、50年前にジュリエット宛に書かれた手紙を見つけます。その内容は、“駆け落ちを約束した恋人のもとに行けなかった”女性クレアの切実な手紙でした。何もかも遅すぎるかもしれないと思いつつ、ソフィはこの手紙に返事を書かせてくれるように頼みます。それがきっかけで、手紙の主のクレアがイギリスからイタリアのヴェローナに孫のチャーリーと一緒にやってきます。50年前の恋人ロレンツォを探して謝るために。
クレアとチャーリーに同行する事となったソフィ。ヴェローナから、トスカーナ、シエナなどのイタリアの町を舞台に、ロレンツォ探しが始まります。
物語には、2つのラブストーリーがあり、どちらも「真実の愛」がテーマとなっています。夢物語のようですが、実話をもとに作られた話だそうです。イタリアの美しい風景やチャーミングで温かいイタリアの人たちが随所に描かれていると、本当に、こんなラブストーリーあってもおかしくないなぁって思ってしまいます。ちなみに、「ジュリエットの秘書」には、日本語でも手紙を出すことが出来るそうです。    (M)

「絵本マボロシの鳥」 藤城清治影絵 ; 太田光原作・文 講談社 2011.5 726.5/ OHi (1階絵本コーナー)

2012.07.11

どちらかというと、大人向けの絵本です。元になったのは、2010年に新潮社から出版された「マボロシの鳥」という短編集で、これを著者の爆笑問題の太田光氏自身が大ファンである影絵作家の藤城清治氏におくったことからこの絵本が誕生したとあとがきに書かれています。御年87歳でありながら、原画40枚もの大作の絵本で、こちらは講談社から出版されています。
原作をやや短縮しているとはいえ、絵本にしては文章の量が結構あり、挿絵の影絵も、細部まで見応えがあります。なので、じっくりと時間をかけて読む絵本です。お父さんお母さん世代が子どもの頃に親しんだカエルのキャラクターの「ケロヨン」がちょこっと登場しているので、探してみてください。
藤城清治氏の影絵については「藤城清治影絵の世界 :シルエット・アート作品とその技法」という本がありますので、こちらを見ていただくとよくわかります。   (C)

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「ツリー ハウス」角田光代著 文藝春秋 2010.10 913.6 / KaMi (3階閲覧室)

2012.07.11

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この作品は、主人公の藤代良嗣が生まれ育ち三世代が暮らしている翡翠飯店から物語は始まる。祖父の死から良嗣は、自分たち家族がどんな経緯をたどって今ここにいるのか?そして、自分たち家族に普通ではない無気力感が覆っていることに疑問があふれだしてくる。そんな家族のルーツを探るべく祖母と行った過去(満州)への旅を通じて祖父母が戦中戦後、生き抜いてきた時代を辿りながら家族と向き合っていく。昭和・平成の時代背景の影響をリアルに受けながら生きていく藤代家。色々なものを失ってきた祖母であったが自分の人生を後悔することはなく「もし」なんていう選択肢はない今を信じる姿は力強くもあり説得力のあるものだった。この作品を読んでいくうちに藤代家が特別だということではなくそれぞれの家族には様々な形があり、歴史を知る大切さを考えさせられ一冊であった。長編小説だが、過去と現在が並行して話しは進み、読みやすい作品である。   (A)

「さみしさサヨナラ会議」小池龍之介, 宮崎哲弥著 角川書店 2011.6 141.6/SAMI(学生選書コーナー)

2012.01.28

まずそのタイトルに惹かれました。さみしさにサヨナラできる方法がのっているのかな、と。そんなことできるのだろうか…? 著者のふたりも、とても気になる方々でした。宮崎哲弥さんはコメンテーターとしてもテレビによく出演されているので、ご存知の方が多いはず。いろいろな番組で難しい討論を繰りひろげられていたりしますが、どこかおちゃめな部分が見えるような気がしているのは私だけではないのではないでしょうか? そしてもうひと方は小池龍之介さんというお坊さんで、昨年は「考えない練習」という本が話題にもなって気になっていたところでした。いわゆる「こうしたらいいよ」的なハウツー本ではありません。タイトルにもある「さみしさ」とどう折り合いをつけて付き合っていけばいいのか? 友だち付き合い、恋愛や、はたまた誰もが避けられない死。さまざまな場面で直面するさみしさや孤独の発生原因を、仏教や心理学、時には哲学などからの側面からも迫り、二人がその謎を解いてゆきます。さみしい、という欲求がたとえばメールなどで簡単に満たされてしまうからこそ、さらにさらにと拍車をかけて寂しさがつのる。この連鎖のメカニズムがわかれば防げるか、といわれてもやはり難しい…。
自分の「こころ」の参考に、ご一読いかがでしようか。(P)

 

「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」 福島文二郎 (著) 中経出版 2010 689.3/FuBu(2階閲覧室)

2011.12.16

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この本を書いた著者は東京ディズニーランドがオープンした1983年に第1期の正社員としてオリエン  タルランドに入社しました。初めての配属先はジャングルクルーズで、その後、人事部ユニバーシティ(ディズニー教育)、株式会社イクスピアリの総務部、人事課などの社員教育を経て、商品企画室に配属され、2007年の退社までにディズニーの研修を100プログラム以上開発した人です。
「なぜ東京ディズニーランドはいつも笑顔にあふれ、ピカピカなのか?」「パークにゴミが放置されていないのはなぜか」「クルーズのスキッパー(案内係)は同じナレーションなのになぜいつもあんな一生懸命出来るのか」ディズニーランドのリピート率の高さの理由がこの本に載っています。どうしたら人々に感動を与える行為ができるのか。ディズニーだけでなく、どの企業でも活用できる基本的な“教え方”が多く述べられています。
(T)

「県庁おもてなし課」 有川浩(著)  角川書店 2011 913.6/AHi (学生選書コーナー)

2011.09.22

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主人公の掛水は「おもてなし課」に配属された、入庁三年目の新米職員である。観光立県高知を目指し、まずは観光特使に名刺を配ってもらうという企画に取り組むが、お役所と民間とでは感覚に雲泥ほどの差があった。観光特使の一人となった、高知県出身の作家、吉門は担当である掛水に、企画の詰めの甘さを指摘する。掛水は民間との差を、何とか埋めようと立ち上がる。手厳しいが見放す事のない吉門や、その斬新な考えがお役所で疎ましがられ本庁を追われた観光アドバイザーの清遠、その娘の佐和、そして本庁で出会った多紀たちが見守る中、掛水は公務員の逃れられないしがらみにもがきながら、カッコいい自分になれるように奮闘する。
これは、有川浩の出身県である高知の本庁舎観光課に実在する「おもてなし課」の物語である。この本の魅力は、相変わらずのテンポの良い文章と、ストレートにキュンキュンさせる恋愛模様にえ、中々知る事の出来ないお役所事情が高知弁丸出しで語られているところだろう。そして、これは有川浩の地方の観光が元気になるようにとの願いが詰まった本である。読み終わった後は、高知県に、いやどこかへ旅行に行きたくなるのは間違いない。
(W)

『長さではない命の豊かさ』 日野原重明著 朝日文庫 2007 2階文庫コーナー

2011.07.22

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この本は聖路加国際病院理事長である著者の新聞連載をまとめた『あるがまま行く』(1995年刊) を文庫化したもの。著者自身が「お釈迦様の生・老・病・死の人生を私なりのなまのことばで書きためてきました」というように、「生み、育てる」「学ぶ」「愛する」「習慣を身につける」「働く」「老いる」「人を治す」「死ぬ」というテーマにまとめられている。著者は、近代医学に全人的医療の基礎を遺したウィリアム・オスラー医師を心の師とした。「習慣が人間の心と体を作る」をオスラー医師の論文に見つけ、「成人病」を「生活習慣病」と改め、血圧を測らせることで住民自らが減塩食の勉強をはじめ、脳卒中死亡と医療費の低下につながった。また、日本の救急医療やナイチンゲールの「自分が経験したことのない病気であっても病人の抱える苦しみや悲しみを感知できる感性が何よりも必要な職業だ」という看護人の心得などにも触れている。自身も病院のいたるところに酸素吸入装置や吸引用の配管を埋め込み、毛布、マットレスを引けば治療にあたれるようにしており、1995年の地下鉄サリン事件では多くの命を救った。連載は今も続き、著者が経験し感じたことを友人に話すように語りかけてくれている。(N)

「八日目の蝉」 角田光代(著)  中央公論新社 2008

2011.05.23

「八日目の蝉」はドラマや映画化されている角田光代さんの作品で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?主人公の希和子が衝動的に、愛する人の赤ん坊を誘拐し、名前を“薫”と名付け一緒に生活を送る中で本当の親子以上の絆が生まれていきますが後に、この逃亡生活が二人の人生に大きな影響を与え、過酷な運命を辿ることになります。

「希和子は、なぜ誘拐してしまったのか?なぜ、そこまで深く愛せたのか?」はじめはそんな疑問ばかりが頭にありましたが読み進めるうちに自然と引き込まれていき、希和子のしたことは実際には許されない行為とわかりながらも同情している自分に驚きました。また、薫は過去に対して冷静でありつつ、血の繋がりのない希和子と同じ人生を辿っていることへの恐怖があり葛藤している姿が印象的でした。憎しみから始まった逃亡生活は色々な出会いや感情を生み出し結末へと向かっていきます。この結末に皆さんはどう感じるでしょうか?サスペンスですが、母と子・家族について考えさせられる深い作品です。  (A)

「図書館に訊け!」 井上真琴(著)  筑摩書房 2004

2011.04.07

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「図書館。誰もが知ってる未知の国。」ということばから始まり、読んでいるうちに図書館の謎が一つずつ解かれていく。著者は大学図書館員。彼の経験に基づいた事例が豊富であるからわかりやすい。例えば「調べて、書く」ための大学図書館の重要な資料である学術雑誌について、論文掲載がいかに大変かは友人の会話で語られているのだ。現物から見て良い資料の見分け方(大きさ、出版  社からなど)、見落としがちなOPACの情報の見方などは目からうろこである。レファレンスカウンタ  ーについての記載部分はドラマのシナリオのようで引き込まれる。大学で学ぶことは広い図書館ネットワークが存在し、資料は国内にとどまらず世界でも手に入るという大学図書館の魅力を謳っている。
この本を読んで難しい部分は飛ばして読んでもいい、そしてまた時間をおいて読んでみたら、新たな発見があるだろう。データベースなどは変わっているものもあるが、大学図書館の資料や機能の揺るぎない素晴らしさに気づく一冊である。(2007年度私立大学図書館協会賞受賞)   (Scarlett)

「赤朽葉家の伝説」 桜庭一樹(著)  東京創元社 2006年

2011.01.21

赤朽葉家の祖母、母、娘を三部構成で綴られ、孫である瞳子の目から描いてあります。祖母の万葉は昭和の初め頃、山の民に置き去られた子で村の若夫婦に拾われ成長し、のちに山の上のお屋敷である赤大奥様であるタツに見染められ、製鉄業で財を成した朽葉家に望まれて嫁いでいきます。万葉は小さい頃から先のことが予知できるということで千里眼奥様と呼ばれます。そのタツは万葉の子供に鞄や孤独などの名前をつけ面白い人です。

第二部は万葉の娘の毛毬の話です。レディースのリーダーとなり暴れますが、親友の死ののち売れっ子の漫画家になり事業と家を支え大きなお屋敷で漫画を描き続けていきます。第三部は毛毬の一人娘の瞳子が祖母や母のことを調べていきます。

終戦後から高度成長、バブル崩壊、現代への流れの中で生きた人たちは、貧しく辛く悲しいことを経験しますが、淡々と描かれていますのでそれをあまり感じさせず面白く読めます。(K)

「シリーズあらしのよるに」(全7冊) 木村裕一(作) あべ弘士(絵)  講談社 1994-1995 (726.5/KiYu/1~7 1階絵本コーナー)

2010.11.19

ご存知の方も多い作品ではないでしようか。オオカミのガブとヤギのメイという普通なら仲良くなれないはずの二匹の、あらしのよるからはじまる物語。全7冊と長いお話ですが、二匹が「いのちをかけてもいいと思えるともだち」に少しずつなっていく過程が一話ごとに描かれています。ガブにとってメイは大切なともだちですが、もともと「ヤギ」は大好物の「エサ」。ともだちをエサとみるなんてと葛藤する中、やっぱり一緒にいたり、話したりする方が大事なんだと気づきます。そんな中、お互いの仲間たちから、ともだちであることを反対されて二匹は一緒に逃げることに…。お互いを大事に想う気持ちを伝えるシーンなどは思わず涙も。。。二匹はともだちとありますが、女子のみなさまには「恋愛もの」としてみても感動できるお話だと思います。(PON)


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「ザ・マインドマップ」 トニー・ブザン(著) 神田 昌典(訳) ダイヤモンド社 2005年(141.5/ZAMA 1階学生選書コーナー)

2010.10.15

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Mind Mapをご存知ですか? 真ん中からカラフルな枝がたくさん出ている図で有  名です。副題の「脳  の力を強化する思考技術」や帯の「脳のメカニズムに沿った革命的思考ツール」という言葉のとおり、Mind Mapは考えたり学習したりすること助ける思考技法です。これまでにも発想や問題解決の技法としてアイデアツリーやロジックツリーなどの技法が使われてきました。Mind Mapも一見これらとよく似ていますが、著者のトニー・ブザンは脳科学的なアプローチでこの手法を作り出したところが大きく異なる点です。
所詮は、まず自分の頭でよく考えることが大切で、このような良い手法を使ったからといって、そう簡単に画期的な考えが生まれるわけではありませんが、この本で基本をよく理解しておけば役に立ちます。まず身近な問題の検討に、小さなMind Mapでいいので描いてみましょう。これ以外にも実践的な応用例を紹介した本がいくつも出ているので活用の参考になります。なお、このMind Mapは手書きで図を描きながら発想するというものですが、パソコンのソフトもいくつか出ています。フリーソフトもありますので、パソコンを活用するのも便利です。(Pen)

「女ひとりで親を看取る」山口美江 (著) ブックマン社 2008年 (916/YaMi 3階閲覧室)

2010.07.26

 山口美江さんの父・俊雄さんは40代なかばで妻を亡くし、その後、高校生だった美江さんの食事から家計の管理、経営する貿易関係の仕事を一手にこなしてきました。ドイツ人と日本人のハーフの父と日本人の母の間に生まれた俊雄さんは、インターナショナルスクールを出、国際的で華やかな生活を送ってきましたが、68歳の時に会社を引退してから引きこもりがちになり、アルツハイマーを発症します。

ほんのわずかな物忘れから始まり、徐々に進む症状。スーツ姿のままの入浴、ちぐはぐな服装に気付き「自分はどうなってしまうのか」と苦悩する父の姿。とうとう症状が進み娘一人での介護が無理になり、父を介護施設へ入所させる際、涙もろくユーモア精神たっぷりだった父が「俺を売ったな」と娘を罵倒する姿。美江さんの心情は多く語られていませんが、彼女らしい決断でお父さんを介護し看取られたのだと感じる一冊でした。(M)

「食堂かたつむり」小川糸(著)ポプラ社 2008年 (913.6/OI 3階閲覧室)

2010.05.24

主人公の倫子は、プロの料理人になるため、アルバイトの日々。ある日 突然、恋人に逃げられてしまいます。同棲していた部屋にたったひとつだけ残されたのは、亡くなった祖母の形見である  ぬか床だけ。行き場のなくなった倫子は15歳の春から一度も帰っていないふるさとへ向かいます。

その山あいのちいさな村で、長年の夢であった「食堂かたつむり」をオープンします。

倫子の作る料理がほんとうに美味しそうなものばかりで、読んでいてお腹がぐうぅ~と鳴ってしまったことが数回…ですので空腹時に読むのはおすすめできません。また、普通のレストランでは出てこないような、なかなか味の想像ができない珍しい料理たちも登場します。でもどれも食べてみたくなる料理ばかりです。

彼女の作り出す料理は、食べた人々を皆幸せにする魔法の力があるのです。なんだか童話のような物語ですが、読んだ後はほっこり幸せな気持ちになります。また、何気なく食事をしている毎日ですが、命あるものをいただいているありがたさ、食べることの大切さも感じることができる一冊です。(R)

『100かいだてのいえ(大型絵本)』いわいとしお 偕成社 (726.5 / Ito こども保育学科)

2010.04.01

今年は「国民読書年」になっていることをご存知ですか?読書と言えば、大学生になって専門書をどんどん読まれていることでしょう。そんな皆さんも最初に本にふれたのはこどもの頃絵本を読んでもらったことではないでしょうか? 1階閲覧室の絵本コーナーには、色とりどりの絵本があり、こどもだけでなく大人も楽しませてくれます。

ところで、この絵本コーナーにはない・・というより、入らない絵本をご存知ですか?

保育園や幼稚園などでの読み聞かせ用につくられた「大きな絵本(ビッグブック)」があります。

そんな大きな絵本の中から「100かいだてのいえ」という本をご紹介します。

☜こちらはビッグブックと通常の大きさの本です。(茶色い本は続編の「ちか100かいだてのいえ」)縦の長さが116センチとこどもたちよりも大きいサイズです。100階に着くまでのワクワク、ドキドキに加え、こどもたちは本を見上げることで更にワクワク感が増して行きます。

このビッグブックはこども保育学科の部屋にありますが、図書館の書庫には他にもいろいろビッグブックがありますから、一度覗いてみませんか。

絵本は蔵書検索「OPAC」の「カテゴリー検索」のページで通常の「絵本」、飛び出す絵本などの「しかけ絵本」、「大型絵本」、「紙芝居」と形態別に見ることができます。こども保育学科の方だけでなく、難しい本に疲れた時、絵本で癒してみませんか。(C)

『私の中のあなた(上)(下)』ジョディ・ピコー(著)ハヤカワ文庫 (1階文庫コーナー)

2010.01.21

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気に入った映画を観ると、原作を読みたくなります。以前にもいくつか映画化された本を紹介しましたが、今回は2009年にキャメロン・ディアス主演で映画公開された「私の中のあなた」の原作本を紹介します。
13歳のアナ・フィッツジェラルドは白血病の姉ケイトのドナーになるために遺伝子操作によってこの世に生まれます。臍帯血、骨髄移植など、姉ケイトが必要とする医療行為に全て関わってきたアナでしたが、ケイトの病状は進み、肝臓移植が必要となります。これを機にアナは両親を相手取り、訴訟を起こします。…もう、姉ケイトのドナーにはならないと。各章ごとに語り手がアナ、母のサラ、父のブライアンなどの登場人物に変わる手法で描かれているため、読者は、どの登場人物に感情移入をするか分れるのではないかと思います。人の存在意義、家族の愛について考えさせられます。また、結末は原作と映画とは違います。原作のラストには衝撃を受けました。もしかすると賛否両論あるかもしれません。(M)

『ビッグツリー : 私は仕事も家族も決してあきらめない』佐々木常夫(著) (289.1 / SaTs 2階閲覧室)

2010.01.05

多くの人が語らないが家庭に悩みをかかえている。しかし、毎日の生活は止まってくれない。著者は自閉症の息子、肝臓病とうつ病を患っている妻を持つ会社員が「仕事も家族もあきらめない」という気持ちで闘ってきた日々が綴られている。著者は家事をこなし、家族が起こす問題を乗り越え、残業できない状況もあり仕事を効率的に行い、業績を上げて、社長に就任する。仕事と家庭の両立、ワークライフバランスという言葉を知ったのもこの本からである。これから社会に出る皆さんには仕事のやり方を学ぶ点も多いだろう。また、これほど完璧なまでの夫であり、父であるにも関わらず、家族関係を保つことはなんて難しいことか、一生一大の事業だと教えられる1冊だった。(Scarlett)

『駆け込み本屋 : 繁盛書店に学ぶ「義理と人情」からの問題解決』清水克衛(著) (159/ShKa 2階閲覧室)

2009.09.28

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タイトルをぱっと見て、本屋と図書館は違えども何か通じるネタが書いてあるかも、と軽くお仕事モードで手にとってみました。でも目次を見ると、これは本屋にまつわる問題解決ではなく普通の悩み相談本で、どうやら予想していた本ではない模様…。中身をぱらぱらめくってみると…あら、私ごのみの挿絵満載。そして初めのページには「この本に出会い、読んでしまったら最後、もうあなたは元にはもどれません」なんて書いてあるではありませんか!! 語りかけるような著者の文章に魅かれ、思惑とは外れましたが、ドキドキ読みすすみました。そして読み終えたら、ちょっと前向きな自分がいました。「天職はどうやって見つければいいのか」「人と自分を比べてしまう」「今のような時代を幸せに生きるには?」みなさんも気になる質問が載っていると思います。秋、新たな気分を迎えるお手伝いにいかがでしょう?  (P)