『ひとりではじめたアフリカボランティア : 渋谷ギャル店員』栗山さやか著 金の星社 , 2015.4
2015.07.23
なんとなく誘われて学生時代に渋谷109のショップ店員になり、そのまま就職。お金を稼ぐことに必死になっていた矢先、親友が乳癌で他界したことで、この先の人生をどう生きればいいのかと深く考えるようになり、栗山さんは2006年に長くて2年ほどの予定でバックパックを背負って日本を出ます。
東南アジアから中東へめぐる中、日本だったら当たり前の事が通用しない不平等なことを多く目の当たりにしたことで、「困っている人の役に立ちたい」という思いが強くなり、アフリカに渡り、HIVや貧困、伝染病に苦しんでいる人たちを収容する施設のボランティア活動を始めます。その後、暴力が横行し治安が最悪なモザンビークで、「一番弱い立場にある人たちに病気や栄養についての正しい知識を提供し、少しでもお金の稼げる手段を一緒に考えたい」とたった一人で協会「アシャンテママ」(「ありがとう、みんな」の意味)を立ち上げます。現在は協会の仕事を並行しながら、2014年に現地で医療技術師の国家資格を取得した栗山さんの約10年の軌跡が記されています。
自分を必要としてくれる人がいるなら、出来るだけのことをしよう。一見すると無計画でありながら、目の前のことにがむしゃらに頑張ってきた栗山さんは、ただ強い意志を持っているというだけではない、悲しい時は人一倍悲しむ感受性をもった人だからこそ、彼女を信用し、周りに人が集まったのではないでしょうか。彼女のひとりではじめた行動が広がりつつあります。自分にも何かできないか、そんな気持ちになる一冊です。(M)