図書館からのお知らせ

「ジュリエットからの手紙」ホセ・リベーラ原案 ヴィレッジブックス 2011.11 1階文庫コーナー

2012.07.20

「ジュリエットの秘書」って知っていますか?イタリアのヴェローナに実在する人たちで、ウィリアム・シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」のジュリエット宛に世界中から届く手紙の返事を書いているのです

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物語は、プレハネムーンで恋人とヴェローナを訪れたソフィが、「ジュリエットの秘書」と出会い、偶然、50年前にジュリエット宛に書かれた手紙を見つけます。その内容は、“駆け落ちを約束した恋人のもとに行けなかった”女性クレアの切実な手紙でした。何もかも遅すぎるかもしれないと思いつつ、ソフィはこの手紙に返事を書かせてくれるように頼みます。それがきっかけで、手紙の主のクレアがイギリスからイタリアのヴェローナに孫のチャーリーと一緒にやってきます。50年前の恋人ロレンツォを探して謝るために。
クレアとチャーリーに同行する事となったソフィ。ヴェローナから、トスカーナ、シエナなどのイタリアの町を舞台に、ロレンツォ探しが始まります。
物語には、2つのラブストーリーがあり、どちらも「真実の愛」がテーマとなっています。夢物語のようですが、実話をもとに作られた話だそうです。イタリアの美しい風景やチャーミングで温かいイタリアの人たちが随所に描かれていると、本当に、こんなラブストーリーあってもおかしくないなぁって思ってしまいます。ちなみに、「ジュリエットの秘書」には、日本語でも手紙を出すことが出来るそうです。    (M)

「絵本マボロシの鳥」 藤城清治影絵 ; 太田光原作・文 講談社 2011.5 726.5/ OHi (1階絵本コーナー)

2012.07.11

どちらかというと、大人向けの絵本です。元になったのは、2010年に新潮社から出版された「マボロシの鳥」という短編集で、これを著者の爆笑問題の太田光氏自身が大ファンである影絵作家の藤城清治氏におくったことからこの絵本が誕生したとあとがきに書かれています。御年87歳でありながら、原画40枚もの大作の絵本で、こちらは講談社から出版されています。
原作をやや短縮しているとはいえ、絵本にしては文章の量が結構あり、挿絵の影絵も、細部まで見応えがあります。なので、じっくりと時間をかけて読む絵本です。お父さんお母さん世代が子どもの頃に親しんだカエルのキャラクターの「ケロヨン」がちょこっと登場しているので、探してみてください。
藤城清治氏の影絵については「藤城清治影絵の世界 :シルエット・アート作品とその技法」という本がありますので、こちらを見ていただくとよくわかります。   (C)

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「ツリー ハウス」角田光代著 文藝春秋 2010.10 913.6 / KaMi (3階閲覧室)

2012.07.11

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この作品は、主人公の藤代良嗣が生まれ育ち三世代が暮らしている翡翠飯店から物語は始まる。祖父の死から良嗣は、自分たち家族がどんな経緯をたどって今ここにいるのか?そして、自分たち家族に普通ではない無気力感が覆っていることに疑問があふれだしてくる。そんな家族のルーツを探るべく祖母と行った過去(満州)への旅を通じて祖父母が戦中戦後、生き抜いてきた時代を辿りながら家族と向き合っていく。昭和・平成の時代背景の影響をリアルに受けながら生きていく藤代家。色々なものを失ってきた祖母であったが自分の人生を後悔することはなく「もし」なんていう選択肢はない今を信じる姿は力強くもあり説得力のあるものだった。この作品を読んでいくうちに藤代家が特別だということではなくそれぞれの家族には様々な形があり、歴史を知る大切さを考えさせられ一冊であった。長編小説だが、過去と現在が並行して話しは進み、読みやすい作品である。   (A)