図書館からのお知らせ

「ジェンダー・クライム」天童荒太著, 文藝春秋, 2024.01

2024.03.28

重苦しい犯罪小説ですが、ページを捲るのがもどかしいくらいスピード感があり、一気に読み上げました。

あらすじは、猟奇殺人事件が発生し、強行犯係の鞍岡は本庁一課の志波と組み、被害者を調べます。被害者は三年前に起きた性犯罪事件の加害者家族でした。復讐を暗示するメッセージが残されていたことから、過去の事件を調べます。加害者が政界の有力者と関係があったため裁判にもならず、被害者と家族は崩壊していました。そして、新たに事件の関係者が殺害されます。二つの事件の被害者、加害者、それぞれの家族、捜査をする刑事たち。物語は進むにつれ、日本での様々なジェンダー格差を浮かびあがらせていきます。

「性犯罪」被害者は、性別、年齢に関係ありません。海外と比べ比較的「安全な日本」であっても多発し、告発や報道がされていますが氷山の一角です。必ずしも、加害者が判明し法の裁きが下されるわけでもなく、被害者やその家族が受けた心身のダメージは生涯消えることはありません。事件が明らかになるにつれ、登場人物たちの背景や不条理な現実が露わにされ、読み手である我々も考えるのです。「私は今まで、何ら疑問を感じなかった」と。

後味は良くありませんが、どこかさっぱりしたところを感じるのは著者の持ち味でしょうか。この本を通してそれぞれの立場で事件を考えてみてほしいです。

(KZ)

「ノンデザイナーズ・デザインブック」Robin William著,每日コミュニケーションズ,2004

2024.03.01

社会人になると突然いろんなことをやらなくてはいけなくなります。そんな仕事の一つが文書やポスターの作成。レイアウトの整った報告書、見栄えの良い社内外向けの広報等々、作成するものの内容は様々ですが、ちょっとしたデザイン性を求められます。いきなり作れと言われて何とか必死に作ってみるけれど、出来上がったものを見て感じる残念感。なんだかちょっとちがうなぁ。けれど、はっきり言ってポスター作成なんて全く得意ではない。何をどうすれば良くなるのかさっぱり分からない。色を変えてみたり、配置を変えたり、試行錯誤を繰り返す。何かの糸口を求めて本を何冊かめくってみても、色についての話は直感的すぎて説明を読んだだけではよく分からない。

そんな方はまずこの本を手にとってみてはいかがでしょうか。タイトルの通り、デザインを学んだことはないけれどデザインする必要のある人に向けた本です。デザインの世界では有名であるらしい4つの原則を分かりやすい実例で教えてくれます。説明を読みながら著者と一緒に例に取り組んでいるとだんだん楽しくなってきますよ。応用編のExtra tips & tricksは架空の会社の宣伝販促物を作るという設定で、著者が4つの原則を踏まえながら色々なチップスやトリックを披露してくれます。初心者には読みごたえありです。

著者も言っています。「知は力なり」。この本を読んだだけでデザイナーにはなれないけれど、自分の見る目は変わるでしょう。少しでも自分の作ったものを新しい方向に向けていくことが出来るようになるかもしれません。