「食堂かたつむり」小川糸(著)ポプラ社 2008年 (913.6/OI 3階閲覧室)
2010.05.24
主人公の倫子は、プロの料理人になるため、アルバイトの日々。ある日 突然、恋人に逃げられてしまいます。同棲していた部屋にたったひとつだけ残されたのは、亡くなった祖母の形見である ぬか床だけ。行き場のなくなった倫子は15歳の春から一度も帰っていないふるさとへ向かいます。
その山あいのちいさな村で、長年の夢であった「食堂かたつむり」をオープンします。
倫子の作る料理がほんとうに美味しそうなものばかりで、読んでいてお腹がぐうぅ~と鳴ってしまったことが数回…ですので空腹時に読むのはおすすめできません。また、普通のレストランでは出てこないような、なかなか味の想像ができない珍しい料理たちも登場します。でもどれも食べてみたくなる料理ばかりです。
彼女の作り出す料理は、食べた人々を皆幸せにする魔法の力があるのです。なんだか童話のような物語ですが、読んだ後はほっこり幸せな気持ちになります。また、何気なく食事をしている毎日ですが、命あるものをいただいているありがたさ、食べることの大切さも感じることができる一冊です。(R)