「女ひとりで親を看取る」山口美江 (著) ブックマン社 2008年 (916/YaMi 3階閲覧室)
2010.07.26
山口美江さんの父・俊雄さんは40代なかばで妻を亡くし、その後、高校生だった美江さんの食事から家計の管理、経営する貿易関係の仕事を一手にこなしてきました。ドイツ人と日本人のハーフの父と日本人の母の間に生まれた俊雄さんは、インターナショナルスクールを出、国際的で華やかな生活を送ってきましたが、68歳の時に会社を引退してから引きこもりがちになり、アルツハイマーを発症します。
ほんのわずかな物忘れから始まり、徐々に進む症状。スーツ姿のままの入浴、ちぐはぐな服装に気付き「自分はどうなってしまうのか」と苦悩する父の姿。とうとう症状が進み娘一人での介護が無理になり、父を介護施設へ入所させる際、涙もろくユーモア精神たっぷりだった父が「俺を売ったな」と娘を罵倒する姿。美江さんの心情は多く語られていませんが、彼女らしい決断でお父さんを介護し看取られたのだと感じる一冊でした。(M)